南ア深南部縦走・三日目

8/15(金)
終戦祈念日。同行の後輩の妹さんの誕生日でもあるらしいがメールの送りようもなく、ごめんと一言つぶやいて今日も出発。


当初の予定ではこの後、大無間山をピストンしてからさらに稜線を南下して朝日岳から寸又峡温泉に下山することつもりだったが、翌日から、下手をすると今日の午後から天気が崩れる可能性もあり、出来れば今日中に下山してしまおうという結論に至っていた。一言で言えば、ヒヨったのだ。
自分の体力的に問題はなかったが、後輩は段々消耗しており、計画を完遂させることを第一にするモチが見るからに無くなっていた。この辺でリーダーとしての素質に差が出るのだろうなと、色々考えさせられる山行ではあった。
大無間のピストンぐらいはしてもいいかとは思ったが、最後の16km林道歩きを考えると欲張らずにいつか次の機会にしておいた方が良さそうだった。


というわけで大樽沢への下山を目指して、ひとまず縦走路を南へと進んだ。
この百俣沢ノ頭〜三方嶺間の縦走路は尾根も狭く道も明瞭で、時折のマツ掴みや倒木がうっとうしい程度で思っていたほど迷う事はなかった。意外と歩かれているのだろう。ただ、大根沢山への登りは傾斜もきつく少々しんどかった。
しかしその山頂に着いてみると、そこは山頂とは思えないような広い樹林帯で、木漏れ日の具合もあって今回の縦走中もっとも素晴らしい場所だった。これだけでも登りに来た価値はあったのではないかと思う。
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大根沢山から下る途中のナギで、今回初めて展望が開けた。
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左が大無間山。いつかの機会にとっておくことにした。素直に東尾根からかな。


縦走路の分岐点である三方嶺に着くと、これまで辿ってきた道のりを見渡すことが出来た。
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右手近くの広い山頂が大根沢山。中央奥の最も高い所が光岳山頂。左隅奥の双耳峰が池口岳。
思えば遠くへ来たもんだ。


あとは一般道を・・と思ったら、こっからがしんどかった!
今までは時折薄いながらも地面はしっかり見えていたのが一転、稜線上いっぱいの笹藪になり、それがCont.1844m地点付近まで続いた。
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特に三方窪前後がわかりにくく、こまめに軌道修正しながら進んだので時間を食ってしまい、今日中の下山がだんだん厳しくなってきた。一面笹藪の三方窪からは噂によると巻道もあるらしいのだが結局分からず、ほとんど地形図通りの稜線伝いに笹藪を歩いた。どこかで間違ったのかなあ。
樺沢と大樽沢を分ける尾根が北西へ派生するCont.1860mピークにやっと着いたときにはまだ今日中の下山を期待しいていたが、ここから明瞭なトレースのある尾根を下り始めて大樺沢への分岐らしきところを曲がったつもりが、なぜ存在するのかよく分からない明瞭なトラバースルートに入ってしまい、時間をロス。元に戻る。
再びCont.1860mピークから尾根を下り、右側からどこからか合流してくるトラバースルートとの分岐を過ぎ、150mぐらい下ったところで大樽沢登山口への分岐が現れた。先刻の失敗もあるので多少不安があったが、分岐からすぐに「大樽沢」と書かれた看板が現れたことでそれは払拭された。
時間節約のため途中のアザミ沢で水を補給をしなかったので残りの水は結構ぎりぎりだったが、これで水無しビバークだけは避けられたことに安心した。


斜面につけられた、登る気にならないような急な登山道をずんずん下り、沢の音が聞こえ始め、そして沢が現れた。
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水、水、水!


登山口まで残りの登山道を歩き、やっと寸又川林道へと出た。この時点で既に夕方。今日中に寸又峡温泉まで歩いたとしても温泉には入れないだろう時間だった。
それでも歩き始めたものの、結局一時間ほど歩いた所の展望台でもう一泊することにした。
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林道途中とはいえ、ここはなかなか眺めの良いテン場であった。
紅茶を湧かし、最後の食料を解放し、ウイスキーを空け、まったり疲れを癒してからテントに入り眠りについた。


行動記録(概略)
<2008.08.15>
4:40 幕営地発 〜 5:30 ブナ沢のコル 〜 7:10 大根沢山 〜 8:55 アザミ沢のコル 〜 10:45 三方嶺 〜 12:00 三方窪 〜 13:10 1883m三角点 〜 14:10 1860mピークの分岐点 〜 (道間違える) 〜 15:05 1860mピークの分岐点 〜 15:23 大樽沢登山口への分岐点(1710mあたり) 〜 16:00 大樽沢水場 〜 16:30 大樽沢登山口 〜 17:40 お立ち台へリポート